読売新道 2023.7.20-23 レポート

2023年7月20日(土)-23日(日)
「竹村新道〜読売新道」縦走旅


<DAY1・7/20>高瀬ダム〜湯俣温泉


長野・大町の高瀬ダム
ここから3泊4日の縦走旅が始まります




ひんやりとした
高瀬隧道を抜け




1時間ちょっとで
湯俣温泉登山口




整備された山道を進みます




沢沿いに出ると




行く手に槍ヶ岳
手前の尾根は北鎌尾根です
これから行く湯俣は
北鎌尾根の入口でもあります




硫黄のにおいがしてくると
まもなく湯俣温泉
スタートから3時間ほどで着きます




到着はしたものの
宿の手前で難所が待ち受けていました

対岸の晴嵐荘へ行くには
激流の上をジップラインで渡らなければなりません

落ちないように安全確保をして
荷物と人間は別のブランコに固定…
と、慣れない操作を計6回(6人)
全員が渡り終えるのに40分もかかりました
終わってみれば、楽しい体験でした




無事、晴嵐荘に到着した私達は




荷ほどきをするやいなや、温泉へ
この日は内風呂が使えず
野天で足湯だけを楽しんだのですが
いや〜 野天って
いろいろありますよね
今回も、はい、ありました




夕食は「噴湯丘」をイメージした
特製チキンカレー
スパイスが効いていました


この日は
晴嵐荘が停電だったため
ランプの灯で夜を過ごしました
さりとて、とくに不自由もなく
縦走初日の夜は
おだやかに更けていきました

標高1,200m
そこそこ暑い夜でした




<DAY2・7/21>湯俣温泉〜竹村新道〜水晶小屋


縦走2日目は
槍ヶ岳のモルゲンロートで始まりました




4時45分に晴嵐荘を出発すると
いきなりの急登
竹村新道
なかなか手強そう




少し登っただけでこの景色
眼下には噴湯丘も見えています
昨日は行けなかったので
次回来たときには、必ず




出発から約3時間で湯俣岳に到着
ここで本日の行程の3分の1
北鎌尾根からの槍ヶ岳がぐっと近づきました




湯俣岳から先は
稜線と樹林帯のアップダウン
強い日差しにさらされる時間が長くなるので
日よけ対策がバテない鍵




次の目標は南真砂岳
天気がいいので
視界にとらえながら歩けます




トレイルを彩る
たくさんの高山植物




花盛りのチングルマもあれば




綿毛のチングルマも




顔を上げても
足元を見ても
ワクワクする景色ばかり




湯俣を出て約6時間
南真砂岳につきました




行程の3分の2まで来たので大休憩
前は鷲羽岳、背後は槍ヶ岳と
スーパースターに囲まれた
夢のような場所
(photo by H.TAKAHASHI)




さあ、残りはあと3分の1
本日のゴール「水晶小屋」まで頑張ります




その先のトレイルにも
お花畑がたくさん




いい季節に
訪れることができました




最後の3時間はとても長かった
水晶岳が見え、
水晶小屋が見えても
なかなか着かない感覚
でも、ほどよく雲が出て太陽を遮ってくれたおかげで
暑さにやられずに歩けました




水晶小屋直下に群生していた
オダマキ
最後の登りで
力をもらいました


そうこうしながら
本日の宿、水晶小屋に到着

この旅いちばんの長丁場ともいえる
縦走2日目が無事終了




<DAY3・7/22>水晶小屋〜赤牛岳〜読売新道〜奥黒部ヒュッテ


縦走3日目の朝
水晶小屋の前からのぞむ槍ヶ岳
昨日は少し雲がかかっていたけれど
今朝は輪郭が鮮明




朝食をお弁当に替え
早々に出発




水晶岳の手前で
日の出を迎えると




黒い山肌の水晶岳が
赤く染まりました




岩場を登り
水晶岳の南峰に登頂




続いて三角点のある北峰へ
ぐるっと山に囲まれた
最深部の山の頂です




左手の山は黒部五郎岳
その右手前の台地が雲ノ平
そこに影で参加の水晶岳



 
赤牛岳へ向かう途中
雷鳥の親子に遭遇
親鳥の手前に
ちょこんとヒナが




その先も
それはそれは美しい景色ばかり




足を止め
遠くの山並に魅入る時間も
しばしば




好天に感謝しつつ
夢のような稜線歩きを
存分に楽しんだのでした



行く手が赤牛岳
近づくほど、
その雄大さに圧倒されます




赤牛岳の山頂に到着
天気がいいので
途中何度も大休憩を入れたこともありますが
水晶岳から4時間もかかりました
赤牛岳がいかに大きな山なのかがわかります




赤牛岳から先が
この旅のハイライト「読売新道」
コースタイムで約6時間
気が抜けない悪路も出てきます




樹林帯に入ると
根っこと岩のミックス
地面はズルズル




手袋もウエアもドロドロ
それでも「お風呂に入りたい」一心で
足を前に出し続けて
奥黒部ヒュッテへ




奥黒部ヒュッテに無事着きました
お風呂に食事、清潔なトイレ
女性だけの部屋
最終日の一夜を快適に過ごすことができました




この日が小屋開けで
満室という忙しさにもかかわらず
スタッフの温かさが伝わる
いい山小屋でした
ありがとうございました




<DAY4・7/23>奥黒部ヒュッテ〜黒部ダム 


縦走最終日の朝
今日も晴れました
この旅初の
山小屋での朝食を終えて




歩き出しました




黒部川沿いを下っていくので
植生も昨日とは一変




変わらないのは
危険箇所の通過がまだたくさんあること




ほとんどの危険箇所には
ハシゴがかけられています




ハシゴがないところは
慎重に通過




登山道整備があってこそ通れる道
感謝です




川幅が広くなり
そろそろ船着き場かも
と期待したものの
実際はここから1時間歩きました




平ノ渡場と平ノ小屋をつなぐ乗船場
定員10名のため
私達は2班に分かれ
まず1便のメンバーを見送り




20分後、船が戻ってきて2便目出発
クルーの方が
「朝の便で小熊が泳いでいるのを見たよ」
と教えてくれました
このあたりはいわずと知れた熊の生息地
それを聞きながら、彼が下げている熊鈴を見ると
登山では携行しない、かなり大きなものでした




先に渡ったメンバーと平ノ小屋で合流
その先は、ペースアップ!
黒部湖15時発のバスに乗って
電車に乗る前にお風呂に寄ろうという計画です




「お風呂に入れる」は魔法の言葉で
たちまち頑張るメンバー
山ジムのように
心拍ゾーンの上からマイナス10で
歩き続けたところ





コースタイムを1時間以上まいて
黒部湖に到着
なんとかバスには間に合いそうです





黒部ダムからのぞむ赤牛岳(いちばん奥)
あそこから歩いてきたんだと思うと感慨深い

4日間の新鮮な体験がもたらす
なんともいえない充足感に
全身が包まれています

そういえば
縦走の後って、いつもこんな感じだったな
久しぶりの縦走で、この感覚を忘れてた

この感覚は、
大きな波が凪に変わるように
時間とともに
山から離れる距離とともに
しずまっていきます

大冒険を終えた私たちは
こうしていつも
日常へと戻っていくのです



Copyright ©  TRACE All Rights Reserved.