はじめてのヒマラヤ登山2019 報告レポート⑦

   はじめてのヒマラヤ登山2019
「アンナプルナサンクチュアリからヒマラヤのピークへ!」
2019年4月21日(日)〜5月6日(月)


CONTENTS-------------
Part①「旅立ち」
Part②「ネパール上陸」
Part③「荷物が来ないけどキャラバン始まっちゃった」
Part④「はじめてのことがいっぱい」
Part⑤「サンクチュアリを歩く」
Part⑥「標高3700mに届いた荷物」


■Part⑦「涙のアンナプルナベースキャンプ」(2019.4.27)


おはようマチャプチャレ
今日も素敵な1日になりますように




行動予定は、マチャプチャレベースキャンプ(MBC)から
アンナプルナベースキャンプ(ABC)まで
時間にしてわずか2時間ですがこの行程がとても重要
標高4,200mのABCで高度順応できるかどうかが
この先の登山を左右するからです




アンナプルナ内院は文字どおり360度山に囲まれた
夢のような場所
進行方向には8,000m峰のアンナプルナ




振り返れば魚の尾のマチャプチャレ
写真でしか見られなかった美峰が
ぐるりと私たちを囲んでいます




そして今回の私たちにとって
最も意味深いピークが
ここに来てやっと見えてきました




メンバーが指す方向(中央やや左より)のピークが
アタックする「テントピーク」(タルプチュリ)です!
この位置からは、まだ全貌が見えませんが
ついに山頂が見えるところまで来たのです




目標の山が見えたこと
そしてこんなに素晴らしい景色の中に
今いられることがうれしくて
ついつい、はしゃいでしまう




でも忘れないで
ここは4000mの高所
しっかり呼吸して酸素を取り込みましょう




その後も雪と岩、太陽と青い空を見て感じて
至福のトレッキングが続きました




遠くに見えていたアンナプルナベースキャンプが
もう目の前




メンバーのほとんどが
初めて経験する高所ですが
全員足取りも軽く
元気にABC入りできそうです




階段を上って
さあ到着、という瞬間
ガレキの山が目に飛び込んできました




3月にアンナプルナを襲った異例の大雪で
ABCのほとんどのロッジが崩壊していたのです




最初は、この現実を
うまく理解することができませんでした




あまりにも気分が高揚していたことと
明日からの登山で頭がいっぱいだったからです




ところでチェパさん以外のスタッフはというと
ひと足先に明日のテント設営場所へ向かっていました




私たちがABCに着く頃
右手のサイドモレーンを下りていく彼らの姿が見えていたので
順調に進んでいると思っていましたが




そのモレーンに非常事態が起きていると知らされ
メンバー全員で確認に向かうことに



 
モレーンとは
氷河の堆積物によってできた土手のような場所
テントピークに登るためには
この巨大モレーンを一旦下り
対岸のモレーンを登り返すことになっています




普段から砂利と岩がガラガラしている足場の悪い場所ですが
3月の大雪で積もった雪が解け始め
落石が多発していました




間近で見ると
土から大量の水が流れ出ています
そのため、雪で止まっていた石が次々と谷底に落下
相当危険な落石の巣になっていました




無理に通過すれば
命に危険が及ぶことは明白
登頂を断念するしかありません




うなだれてABCへ戻り
ロッジの裏手から
テントピークを眺めてみました




すぐそこなのに
行けないもどかしさ
最初の一歩すら踏み出せなかった
悔しさがこみあげてきます




でもモレーンの落石は
数日待ったところで解消されるレベルではなさそうです
気持ちを切り替えて「今」を楽しもう
そう思えたのはこのメンバーのおかげです




この日、もうひとつ寂しい出来事がありました
数名のポーターさんとの別れです
彼らの担当はABCまでだったようで
冷たい雨の中、下山していきました
ここまで重い荷物を運んでくれてありがとう




ジイジとも
会えなくなるんだね




午前中の高揚していた気分が午後は一転
これまでにも
アクシデントを乗り越えてきた私たちですが
今日はあまりにも振れ幅が大きい




そんな中、ABCで唯一崩壊を免れたロッジに
泊めていただけることになりました
他のロッジの状況を見れば
この部屋を提供してもらえただけでもありがたいこと
しかも、幸か不幸か9人一緒の大部屋です
ぎゅうぎゅうだけど、修学旅行みたいでちょっと楽しい
メンバーの存在に元気づけられます

一喜一憂の1日
さあ、明日からどうするか
それは、ゆっくり考えよう



>>Part8へ続く



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