はじめてのヒマラヤ登山2019 報告レポート⑩

はじめてのヒマラヤ登山2019
「アンナプルナサンクチュアリからヒマラヤのピークへ!」
2019年4月21日(日)〜5月6日(月)


CONTENTS-------------
Part①「旅立ち」
Part②「ネパール上陸」
Part③「荷物が来ないけどキャラバン始まっちゃった」
Part④「はじめてのことがいっぱい」
Part⑤「サンクチュアリを歩く」
Part⑥「標高3700mに届いた荷物」
Part⑦「涙のアンナプルナベースキャンプ」
Part⑧「ABCにテント村ができた」
Part⑨「名もなきピークへ!」

■Part⑩「山ヨガ in ヒマラヤ」(2019.4.30)


アタック日の翌朝は
大抵、体に異変が現れるようです




2013年のヤラピークのときは
高山病、ムーンフェイス
そして今回は、下くちびるの水ぶくれ




見るも無惨に腫れ上がり
朝食もままなりません




すべては強い日差しの下で
UVリップクリームを塗り忘れたせい




ヒマラヤは太陽のパワーも桁違い
ひ弱な皮膚と粘膜は
簡単にやられてしまうわけです




ありがたいことに
昨日に続いて快晴




今日はこのマスクを
絶対に取らないと決めました




アタック日の後なので
本日はゆるゆるハイキングで
クールダウン




ベースキャンプのすぐ上にある
眺望の丘まで登ります
高度順応を目的とした
いわゆる「裏山登山」に使われる場所です
雪はありますが
チェーンスパイクにトレッキングポールという軽装備でOK




半分くらい登ってきたところです
天気良し、眺望良しの
ぜいたくなハイキング




「もう少し登ると広い場所がありますよ」
とチェパさんに言われ
さらに進みます




ここがゴールのようです
確かに広〜い




さっそくゴロン
登頂に向けて張りつめていた緊張が
ゆるんでいく心地よさ




登ったら
みんなでやろうと思っていたことがあります



 
そう、山ヨガです!




神々しい山に囲まれて
ヒマラヤのエネルギーを
いっぱいいただこう




うれしいことに
ネパール人スタッフも
ヨガに参加してくれました




標高約4,300mの山ヨガ
自然とも人ともつながりました





レッスンを担当してくれたayako先生
ありがとう
ヒマラヤで山ヨガをするという夢が叶いました




ベースキャンプに戻ると
恒例のドリンクサービス




中身はいつものオレンジジュース
みんなお疲れさま
今日も楽しかったね




食堂テントに行くと
昼食の豪華手巻き寿司が用意されていました




テントでは専属のコックさんが料理をつくってくれるので
日本の味が食べられます
これが、本当にうれしいんです




食後の団らんを楽しんでいると
天候が急変して突風に襲われました
食堂テント、あわや崩壊の危機!




雪も降ってきました
食堂テントはスタッフにまかせて
自分たちのテントへ避難することにします

その後、雪は1時間ほど降り続きました



吹雪がやんだところで
再び食堂テントに全員集合



;
カードゲームに熱狂する
平和な時間が戻ってきました

天候が崩れると
一瞬にして世界が変わります
いいことばかりではなく、こんなときもまた
ああヒマラヤにいるんだなぁ
と全身で実感するのです

テント生活最後の夜
この旅の終わりが近づいています



>>Part11へ続く





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はじめてのヒマラヤ登山2019 報告レポート⑨

はじめてのヒマラヤ登山2019
「アンナプルナサンクチュアリからヒマラヤのピークへ!」
2019年4月21日(日)〜5月6日(月)


CONTENTS-------------
Part①「旅立ち」
Part②「ネパール上陸」
Part③「荷物が来ないけどキャラバン始まっちゃった」
Part④「はじめてのことがいっぱい」
Part⑤「サンクチュアリを歩く」
Part⑥「標高3700mに届いた荷物」
Part⑦「涙のアンナプルナベースキャンプ」
Part⑧「ABCにテント村ができた」

■Part⑨「名もなきピークへ!」(2019.4.29)


朝5時を過ぎたところです
雪山装備にハーネス、ヘルメットを装着して
歩き始めました




向かう先は
月の直下のあのピーク
登頂を断念したはずの私たちに巡ってきた
新たなアタックチャンスです



ここに至るまでには
こんなことがありました


昨日の朝
朝食のテーブルについてからずっと
地形図とにらめっこするリーダー




朝食後
ある方向をじっと見つめるリーダー




テント村設置に沸く中
チェパさんと話し込むリーダー




このとき二人の目線の先にあったのがこの山でした
7000〜8000m級の山に囲まれたこのエリアで
やっと見つけた5000mほどの小ピーク
ここにアタックしてはどうかと
リーダーがリクエストしたのです



 
チェパさんからOKが出たところで
メンバーへ報告




こうして
今日の登山となったわけです




ベースキャンプを発って1時間もすると
夜が明け始めました




個人的なことですが
アタック日にメンバーとご来光を拝むことが
この旅の楽しみでもありました




その願いが
叶いました



   
雪面を登っていく私たちの後ろで
豊穣の女神アンナプルナもお目覚めです




下から見ていたときは
もっと早く着けると思っていたのに
やはりヒマラヤはスケールが違う




これがラストピッチ
斜面を登りきったあたりが
目指している稜線です




先頭を行くチェパさんが
ピークに立ちました
ゴールです




高度計は
4700mを示しています




私たちも
あとに続きます




第1班が先に登頂




続いて第2班も




マチャプチャレが
いちだんと近くに見えます




登るはずだったテントピークとは
ほぼ同じ目線




まわりの山に比べたら
名前もない小さなピークだけれど
私たち9名にとっては
大きな大きなヒマラヤのピーク
そこに登頂できた喜びと感動を
今、全員でかみしめています




穏やかな天気のおかげで
ピーク直下のコルで
大休憩をとることができました




キッチンスタッフが用意してくれたお弁当
梅干し入りのおにぎりがおいしかったなぁ




チェパさんも大休憩




アタック日に
ここまでのんびりできるとは
想像していませんでした



 
太陽が高くなり
雪の照り返しがきつくなってきたので
そろそろ下山




フィックスロープで下りるとき
雪がゆるんでスノーバーがきかず
かなりの時間がかかってしまいましたが




その後の下山は
いたって順調




14時半には
ベースキャンプに戻ってきました




ただいま!
全員、無事に帰還しました




興奮がさめてから
今日歩いたところを眺めてみると




斜面に刻まれたひとすじのトレースを発見
チャレンジの証がそこにありました

目標にしていたテントピークには
標高も難度も歩行時間も及ばなかったけれど
全員が笑顔で登頂できたことに感謝しよう

今晩はお祝いだね



>>Part10へ続く





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はじめてのヒマラヤ登山2019 報告レポート⑧

   はじめてのヒマラヤ登山2019
「アンナプルナサンクチュアリからヒマラヤのピークへ!」
2019年4月21日(日)〜5月6日(月)


CONTENTS-------------
Part①「旅立ち」
Part②「ネパール上陸」
Part③「荷物が来ないけどキャラバン始まっちゃった」
Part④「はじめてのことがいっぱい」
Part⑤「サンクチュアリを歩く」
Part⑥「標高3700mに届いた荷物」
Part⑦「涙のアンナプルナベースキャンプ」


■Part⑧「ABCにテント村ができた」(2019.4.28)


予定どおりなら、今日から4日間は
ライトエクスペディション(登山)のはずでした
テントピークに行けなくなった今
どう過ごそうか




サーダーのチェパさんからの提案は
このままABCに滞在して
テント泊して過ごそうというもの

この美しい景色の中にあと3日
居られることが決まりました




スタッフがテントを設営している間
私たちは待機




寝袋を干したり




景気づけに
日本にいるTRACEメンバーからの
差し入れを食べたり




チェパさんの似顔絵大会をしたり




もういいよ〜
のサインが出たところで
荷物を持ってお引っ越し




行く手には
崩壊したロッジがいくつも




雪の下に埋まってしまった建物もあり
大雪の被害の甚大さを改めて知ることに




引っ越しといっても
ロッジから歩いて数分
目と鼻の先に
立派なテント村ができあがっていました




アンナプルナを仰ぐ
絶景ポイントに私たちのテントが5張




2人で1つなので
広々使えます




このほかに
厨房テント(緑)と
食堂テント(黄色)




厨房テントの中では
キッチンスタッフが忙しそう




もちろん
トイレテントもあります




ウェルカムドリンクに
オレンジジュースをいただき




素敵なテント村にカンパイ
3日間、お世話になります!




感動したのは食堂テント
9人が座れる十分なスペースに
テーブル、椅子、ランタンが完備




ちょうどお昼になったので
コックのクリシュナさんが腕をふるった
おいしいランチをいただきました




久しぶりの和食で元気モリモリ!
その勢いで
午後の雪山トレーニングに出かけました





フィックスロープでの登下降を
現地スタッフと一緒に最終確認

登山は中止になったはずなのに
なぜトレーニング?


それは、明日わかります



>>Part9へ続く




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はじめてのヒマラヤ登山2019 報告レポート⑦

   はじめてのヒマラヤ登山2019
「アンナプルナサンクチュアリからヒマラヤのピークへ!」
2019年4月21日(日)〜5月6日(月)


CONTENTS-------------
Part①「旅立ち」
Part②「ネパール上陸」
Part③「荷物が来ないけどキャラバン始まっちゃった」
Part④「はじめてのことがいっぱい」
Part⑤「サンクチュアリを歩く」
Part⑥「標高3700mに届いた荷物」


■Part⑦「涙のアンナプルナベースキャンプ」(2019.4.27)


おはようマチャプチャレ
今日も素敵な1日になりますように




行動予定は、マチャプチャレベースキャンプ(MBC)から
アンナプルナベースキャンプ(ABC)まで
時間にしてわずか2時間ですがこの行程がとても重要
標高4,200mのABCで高度順応できるかどうかが
この先の登山を左右するからです




アンナプルナ内院は文字どおり360度山に囲まれた
夢のような場所
進行方向には8,000m峰のアンナプルナ




振り返れば魚の尾のマチャプチャレ
写真でしか見られなかった美峰が
ぐるりと私たちを囲んでいます




そして今回の私たちにとって
最も意味深いピークが
ここに来てやっと見えてきました




メンバーが指す方向(中央やや左より)のピークが
アタックする「テントピーク」(タルプチュリ)です!
この位置からは、まだ全貌が見えませんが
ついに山頂が見えるところまで来たのです




目標の山が見えたこと
そしてこんなに素晴らしい景色の中に
今いられることがうれしくて
ついつい、はしゃいでしまう




でも忘れないで
ここは4000mの高所
しっかり呼吸して酸素を取り込みましょう




その後も雪と岩、太陽と青い空を見て感じて
至福のトレッキングが続きました




遠くに見えていたアンナプルナベースキャンプが
もう目の前




メンバーのほとんどが
初めて経験する高所ですが
全員足取りも軽く
元気にABC入りできそうです




階段を上って
さあ到着、という瞬間
ガレキの山が目に飛び込んできました




3月にアンナプルナを襲った異例の大雪で
ABCのほとんどのロッジが崩壊していたのです




最初は、この現実を
うまく理解することができませんでした




あまりにも気分が高揚していたことと
明日からの登山で頭がいっぱいだったからです




ところでチェパさん以外のスタッフはというと
ひと足先に明日のテント設営場所へ向かっていました




私たちがABCに着く頃
右手のサイドモレーンを下りていく彼らの姿が見えていたので
順調に進んでいると思っていましたが




そのモレーンに非常事態が起きていると知らされ
メンバー全員で確認に向かうことに



 
モレーンとは
氷河の堆積物によってできた土手のような場所
テントピークに登るためには
この巨大モレーンを一旦下り
対岸のモレーンを登り返すことになっています




普段から砂利と岩がガラガラしている足場の悪い場所ですが
3月の大雪で積もった雪が解け始め
落石が多発していました




間近で見ると
土から大量の水が流れ出ています
そのため、雪で止まっていた石が次々と谷底に落下
相当危険な落石の巣になっていました




無理に通過すれば
命に危険が及ぶことは明白
登頂を断念するしかありません




うなだれてABCへ戻り
ロッジの裏手から
テントピークを眺めてみました




すぐそこなのに
行けないもどかしさ
最初の一歩すら踏み出せなかった
悔しさがこみあげてきます




でもモレーンの落石は
数日待ったところで解消されるレベルではなさそうです
気持ちを切り替えて「今」を楽しもう
そう思えたのはこのメンバーのおかげです




この日、もうひとつ寂しい出来事がありました
数名のポーターさんとの別れです
彼らの担当はABCまでだったようで
冷たい雨の中、下山していきました
ここまで重い荷物を運んでくれてありがとう




ジイジとも
会えなくなるんだね




午前中の高揚していた気分が午後は一転
これまでにも
アクシデントを乗り越えてきた私たちですが
今日はあまりにも振れ幅が大きい




そんな中、ABCで唯一崩壊を免れたロッジに
泊めていただけることになりました
他のロッジの状況を見れば
この部屋を提供してもらえただけでもありがたいこと
しかも、幸か不幸か9人一緒の大部屋です
ぎゅうぎゅうだけど、修学旅行みたいでちょっと楽しい
メンバーの存在に元気づけられます

一喜一憂の1日
さあ、明日からどうするか
それは、ゆっくり考えよう



>>Part8へ続く



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はじめてのヒマラヤ登山2019 報告レポート⑥

 はじめてのヒマラヤ登山2019
「アンナプルナサンクチュアリからヒマラヤのピークへ!」
2019年4月21日(日)〜5月6日(月)


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Part①「旅立ち」
Part②「ネパール上陸」
Part③「荷物が来ないけどキャラバン始まっちゃった」
Part④「はじめてのことがいっぱい」
Part⑤「サンクチュアリを歩く」


■Part⑥「標高3700mに届いた荷物」(2019.4.26)


みんなのお気に入り
チベタンブレッドで始まった
キャラバン4日目の朝




ヒマラヤホテルを後にして
元気に歩き始めました




今日は2900mから
3700mまで標高を上げます




富士山山頂とほぼ同じ高さに達するので
今まで以上に呼吸を意識して
ビスターリ(ゆっくり)歩きます




樹林帯から森林限界へ
景色が変わり
開けた谷間に見えてきたのは
次の休憩地デウラリ




標高3200mのデウラリは
マチャプチャレを仰ぐビューポイント
ここでものんびりと贅沢なお茶時間




森林限界を超えたら注意しなければならないこと
それは、お肌のケア
ネックウォーマーで覆ったり
日焼け止めを塗り直したり
強い日差しからお肌をガードしとかないとね




デウラリを過ぎると雪渓地帯
落石が多い場所なので
注意しながら進みます




正午を過ぎて少しガスってきた頃
本日のゴール地
マチャプチャレベースキャンプに到着




お腹がぺこぺこなので
まず昼食です
富士山山頂とほぼ同じ標高にいるのに
食欲は旺盛
元気な証拠です




ポーターさんたちは
定番のダルバートを
手でこねて上手に食べています




ランチのあと
いつものように
ガードゲームをしながら過ごしていると




サーダーのチェパさんが
ソワソワし始めました




ついに
あのときが来たようです!




ロストバゲージで遅れていた荷物の到着です!!
大歓声の中
一人目のポーターさんが登ってきました




それから30分後
二人目のポーターさんも到着!
その場にいた全員で、花道をつくって出迎えます




二人の荷物がやっと届きました
羽田で預けて以来5日ぶりに
自分の荷物とご対面




登山装備はもちろん
着替えや生活用品すべてが揃いました




ポカラからここまで
大急ぎで運んでくれたポーターさんに感謝し
感動にわくメンバー




マチャプチャレにかかった雲が
この日とれることはなかったけれど
メンバーの心は一気に晴れました
とにかく、今日は全員が喜びいっぱい

まさかこの笑顔が
明日は涙に変わってしまうなんて
誰が想像したでしょう


>>Part7へ続く


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